2013年1月14日月曜日

雪景色と原体験

今日は大雪。

こんな積もり方をする大雪はいつぶりだろう??





こういう日はゴアテックスのジャケットを着て、「おぉー雪でもへっちゃらだよー!!」とその性能を確認するためだけに外に出てはしゃいでみたくなるのだが、部屋の中から窓の外に降り積もる雪を眺めているだけで、十分楽しい。


雪が降り積もる様子を眺めるのは昔からとても好きなのだが(たいていの人はキライじゃないだろうが)、自分にとっては、やはり小さいころの記憶が蘇るから好きなのかな、と思う。


子どもころ、ワシントン州のレドモンドに住んでいた頃の記憶。
アメリカ北西部の最北端であるワシントン州は、とにかく雨と雪が多い。
秋以降は雨が続き、冬には雪に変わり学校も休日になることもしばしば。


そういう時は外で雪かきか、雪遊びか、家の裏の林を流れる凍った小川で遊ぶか、家の中で音楽を聴いてるか、くらい。

なので雪が降ると、自然とその頃の思い出や風景がどんどん出てくる。


暖炉、薪、ラジオ、小川、林、車のチェーンの音・・・


30代になってからというもの、こうした自分の原体験につながるきっかけを求める自分がいるような気がしてならない。



思えば山登りも、この頃に家族でよく行ったレニア国立公園や、家の近くの裏山での遊びなど、小さいころの記憶を少し呼び戻せることも、惹かれる部分なのかもしれない。


松ぼっくり、松の木やモミの木、岩の多いシングルトレイル、乾燥してヒンヤリとした空気感、ホイップクリームの乗ったホットココア(笑)・・・


こうしたキーワードに遭遇するたびに、昔の記憶と結びつく。


子どものころはなんとも思っていなかったし、たまにめんどくさいとも思っていたようなことが、いまになってとても大切なものになっている。






こうした記憶を紐解くキーワードは人それぞれだろう。
結びつきが薄い人や強い人もいるし、思い出したい人もいれば思い出したくない人もいるかもしれない。


ただ、そうしたキーワードが自分を構成する要素であることは間違いないし、普段の生活でも仕事に対する考え方でも、きっと影響しているはずなので、日常の中で定期的にそれらと向き合うことは、自分の中である種のサイクルとして取り入れていきたいと思っている。




自分の子どもは、大人になったらどんなキーワードに惹かれるようになるのだろうか。


これからもたくさんの初体験や、原体験となるものを得ていくと思うので、良いキーワードがたくさんあることを願う。




ちなみに窓から大雪を観ながら聴いているBen Harperのアルバムが、雪景色にものすごくハマるので、機会があったら雪景色と一緒に聴いてみてください。




2013年1月8日火曜日

山歩きの中で思うこと

今年初の登山は、丹沢山のみやま山荘での一泊登山から。



塔の岳から丹沢山、蛭が岳を経て姫次へ、そして東野へ降りるという、人気の高い“表の丹沢”からほとんど人のいない“裏の丹沢”へ抜けるコース。


普段から山だ山だと言っておきながら、なんだかんだで山小屋は初。
どの程度寒いかよく分からなかったのと、その前に行った乾徳山では予想外の雪と吹雪で手が軽い凍傷になったので、ちょっと多めに防寒着をパッキングしていったのだが、実際に泊まってみると予想以上に快適。


みやま山荘自体は割と最近リニューアルしたこともあり、山小屋の中でもかなりきれいな方ということもあるが、全員雑魚寝の寝室は割とあったかかった。


談話室や食堂はむしろ熱いくらいで、ストーブの熱が心地よい。
食堂での焼肉の後は、談話室にある本棚から、好きな本をひっぱりだしたり、TVで天気予報を見たりしながら、消灯までの間のゆったりとした時間を過ごす。

外は風が強かったけど、山荘の中は時間の流れが穏やかで、贅沢な時間の使い方のように感じた。





日の出と同時に縦走を開始。朝方の山の風景は最高で、これまで上ってきた丹沢が別世界のようだ。

今回は丹沢主脈と呼ばれるコースを歩いたのだが、主稜と呼ばれるコースや、西丹沢の方もあるので、まだまだ丹沢は奥が深い。他の県の山にも行きたいが、県内でこれだけいろいろなルートがある山々があるのだから、もっと探究していきたいと思う。






それにしても、山登りの最中はいろいろなことを考える。


チームスポーツとは違い、ただ己の体(&便利な山道具たち)で山を登っていくので、自然と自分の体と対話しながら動いているのだと思う。


いま自分がどんなことが気になっているか、仕事やプライベートで気になったことから、ふとしたアイデア、この前思いついたけど忘れてしまったこと、過去のことや未来のこと、そんなことがどんどん出てきては通り過ぎていく感じなのだが、特にコントロールできなくなってパニくるわけでもなく、そのどれも割と前向きに受け入れ、なんとなく良い答えや返しを自分で出すことができる。


もしかしたら、自然の中で体一つでいると、感受性が高まるのかもしれない。


素晴らしい景色の中では自分の感情もenhanceしてくれるされ、その結果、日常のいろんな事柄に対してピュアに向き合うことができるのかも。


マラソンが趣味の友人も、走っていると色々な悩みが解消された気がすると言っていたし、おそらくサーフィンでの波待ちなんかもそんな感じなのかも。


ただ自分にとっては、山や森で味わう景色と空気がないとダメらしい。



とはいえ、下山して街に戻ってくると大抵忘れてるのだが、部屋や机の上でいろいろ悩んでるのであれば、個人的には山登りをオススメしたい。



2013年1月6日日曜日

未来思考と環境志向

気づけば1年間、ブログを更新していなかった。。。


ちょうど1年前に転職し、広告代理店のプランナーからメーカーの研究開発部門での企画職へと変わり、身の回りや環境の変化に翻弄されること半年間、なんとなく慣れてきたかなーと思えるようになった3ヶ月間、そして俄然面白くなってきた後半3ヶ月を経て1年が過ぎ、ようやくブログ記事でも書こうかなと思えるようになってきた。
しかしFacebookには書き込んでるな。。。


10年間、広告代理店でデジタル領域の企画を経験したが、一時期はゲーム/CP企業に出向していたこともあったので、異業種へ行くことは慣れていたつもりだったのだが、黒物家電メーカーの研究開発部の異世界っぷりには、正直圧倒されまくりだった。
業界の違いについていろいろ書くつもりはないので、そこらへんは置いておくとして、考えや思考の変化について記録しておきたい。



今の自分の仕事は、自分たちが開発している技術を用いてどのようなサービスやプロダクトに落としこめるか、そしてそれらがエンドユーザーのライフスタイルをどのように変えていくかを企画/デザインすることだ(もちろん逆からのアプローチもある)。
こういう仕事と向き合うことで考えるようになったのが、「日々の生活の豊かさ」について。


人々の将来はどうあるべきか。
どのようになれば豊かな未来だと言えるのか。
そもそも社会や人々の意識はこれからどのように変化していくのか。
その中で自分たちがテクノロジーを使って実現できること、提供できる価値はなんなのか。。。
そんなことをひたすら考えるようになった。


未来は自分や家族、大切な人達に関わること。当然身の回りだけでなく、先進国から現在発展途上の国や地域の人々まで関わる。
最もミニマルな生活環境から、より大きな地球規模での環境まで意識する必要がある。


特にここ数年は山へ登ることが多くなったこともあり(ちなみにこの記事も山小屋で書いてる)、街での生活と自然の中での生活、未来と自然環境との関わり合い、その中での豊かな生活のあり方はどうあればいいか、といった事への意識がとても強くなった。


以前はこういったことについてここまで向き合うことはできなかった。向き合う余裕と余力を残す能力がなかったと言った方がいいのだろう。
もちろん広告業界の優れたプランナーやディレクター、”先生”クラスの偉人たちは、みんな「生活者視点」で考えているし、生活者の今と未来を鋭い感覚で捉え、素晴らしい企画に落としこんでいる。
自分も、生活者にとって本質的な価値となるサービスをコミュニケーションの中で提供することで、結果的にクライアント企業にとってもプラスになることを最も意識しながら企画してきた。


ただ、(言い訳がましいのを承知で言うと)仕事領域がデジタルコミュニケーション/プロモーション分野の中では、すでに何らかの商品やサービスがある中でスタート、あるいはすでに企画の方向性が出ている中でスタートするため、より本質的な部分から考え始めることはなかなか難しかった。


今はコミュニケーションの手前にある、モノやサービスを作る場所にいる。
実際にはこの時点で、生活者とのコミュニケーションは始まっていると言っていい。
この中で社会の変化を感じながら、促したり、より良い方向へと流れを作っていくことを深く意識していくと、正直マーケティングやコミュニケーション、プロモーションなんてどーでもいいのではないか、自分の興味分野はそこではないのだな、ということに気づいた。(もちろん、コミュニケーションやプロモーション企画を考えるのは今も好きです)


競合に勝つとか、世の中をあっと言わせるとか変えていくとかよりも、人と環境にとってより豊かな未来の姿を提示し、実現していきたい。広告代理店にいた時の、感覚のズレとの暗黙の調整みたいなものがここに来てフッと和らいだように感じた。
そして今は、モノを作っている会社にいるからこそ、物質的ではない豊かさを追求していきたいとも感じている。


どのような環境においても、日々の生活において気持ちがenhanceされ、充実感を感じることができるような日常を描き、実現していきたい。


そんなことを考えながら、2013年もさらに楽しみたいと思う。



今年もよろしくお願い致します。