2013年5月21日火曜日

帰ってきたDaft Punkのティーザープロモーションと、その音楽的挑戦の素晴らしさ

ついに帰ってくるぞ!!Daft Punkが帰ってくるぞ!!

もう去年の秋口から徐々に小出しにされてきたColumbia Recordの一連のプロモーションにやられっぱなしなのだが、リリース直前に迫った中で公開されたティーザームービーが悶絶するほどヤバい。




彼らの一貫した世界観の中でオマージュとして登場する様々な元ネタが個人的にもドツボなため、全てに反応してしまうのだが、そんなアホなファンでなくても、ちょっとした音楽好きであれば、今回のDaft Punkのプロモーションと先行シングルは、Webやソーシャルメディア経由でちょっとは目に入ってきているのではないか。



音の話の前に、まず今回移籍先のSony/Columbia Recordが展開したティーザープロモーション。
最初はアメリカの人気バラエティー番組“Saturday Night Live”の合間に突然流れたティーザーCM。



うん?なにこれ?ってかこれだけ??

いや待て、この音とこのきらびやかな往年のディスコシーンを思わせるタイトルバックを観るだけで、次のアルバムがどんなことになりそうかを分からせるには十分かも。
そんな期待と思惑が、次の日からSpotを観た人や音楽系メディアでこのCMに関する話題と憶測が飛び交う。


しばらく経たずしてIntelとVICEが共同で運営するクリエイティブメディアの“The Creators Project”がThe Collaboratorsというタイトルで、今回のアルバムに参加した大物コラボアーティストたちのインタビュー動画が公開。

第一弾はディスコシーンの伝説的プロデューサーであるジョルジオ・モロダー!
続いてティーザーとなった楽曲“Get Lucky”でギターを弾いたナイルロジャース!
そしてさらに今をときめくセレブなアーティスト、ファレル・ウィリアムズ。

ダフトパンクの1stからして、ジョルジオ・モロダーやナイルロジャース辺りの人たちの影響をもろに受けてることがうかがえるだけに、まさに自分たちのルーツを召喚した感じなんだろう。


こんな舞台裏の映像で期待感をふくらませつつ、アメリカの大型フェスであるコーチェラで流されたのがこれ。




うわぁー!ロボットがナイル先生と一緒にバンド演奏してるーっ!!
このコーチェラフェスの大型スクリーンに映されたミュージックビデオを撮影した観客の投稿動画はPV数がうなぎのぼり。


そして同時期にイヴ・サン・ローランから発表されたアーティストコラボシリーズの最新作にはキラッキラのブラックスーツを着込んだダフトパンクが。ミュージックビデオで着ていたスーツと一緒!かっこいい~!




コーチェラフェスの前からfacebookなどでターゲティングアドも配信され、itune storeの予約サイトへ飛ぶよう誘導。
もちろんクリックしてしまったが、誘導先のitune storeには曲名が一切ない。全部Track01といった感じ。
にも関わらず瞬く間にUS storeの予約数1位にランクイン。


そろそろ楽曲名くらい発表してもいいだろうと思っていたら、その発表方法がまたもやひねりが効いていて、なんとtwitterが最近始めた5秒動画投稿サービスのvineにて、アルバムの全曲名を5秒で紹介する動画を投稿。




この使い方は面白い。ここまでの溜めと煽りを作ってこれたからできる使い方。


そしてついに先行シングルの“Get lucky”が各ダウンロードサイトで発売すると、早くもfan madeミュージックビデオなどやリミックスが投稿されるなど、ソーシャルメディア上でのレスポンスが返ってきている。


このシングルのリリース後は、pitchforkなどの信頼できる音楽メディアでのカバーインタビュー記事が公開され、どのようにして今回のアルバムが作られたのかが丁寧に紐解かれ、あとは実際に買って聴くのみ、というところまで来た。

あぁ~楽しみ!




自分自身はただの音楽ファンで、音楽ライターでもなんでもないのだが、彼らの曲のことも少し書いておきたい。


先行シングルのGet luckyを聴くかぎりでは、完全にミュージシャンによる生演奏で作られたダンスミュージックになっている。ループらしきものも聴き取れない、楽曲の隠し味というか出汁である“演奏の空気”のようなものが詰まっているように感じる。


「音楽を生で弾く」って言葉で書いてみると当たり前のことなんだけど、現代の音楽、特にダンスミュージックは楽器を演奏できなくても作れるし、ましてや「skillirexのあのシンセ音」みたいな形で検索すれば、youtube上でそのパラメーター設定の方法が丁寧に解説されたりしてるわ、どのレコードをサンプリングすればあの曲が作れるか、ネタ元が全部載ってたりと、音楽の作り方が公開されてしまっている状況。

PitchforkのインタビューでもDaft Punk本人たちが語っていた、「マジックは種明かしをした後はなんの感動も残らない。もう一度音楽のマジカルな部分を呼び戻したかった。」という部分がまさにこれなのではないか。


今年もまだまだ勢いが衰えないEDMの下地はDaft Punkのライブツアーやその後に続くJusticeなどのフレンチ・エレクトロ勢が大きく影響していると思うし、”One more time””Robot Rock”などの分かりやすさやダンスミュージックとしてもポップスとしても行ける完成度の高さが、ロックキッズすらもダンスミュージックにシフトさせる流れを作ったんだと思う。

でもDaft Punkが1stからずっとやりつづけてきたのは、かつて生音で人を踊らせていたファンクやディスコのgrooveを現代のダンスミュージックの中で忠実に再現することだったように思える。
最初に”musique””Da Funk”"Around the world"を聴いた時、キックとハイハット、スネアの間にある「音の隙間」だけでこんなにgrooveが生み出せるものなのかと驚いた。
なんせ当時はハードテクノ健在の時代で、BPM145~150とかの四つ打ちばっかりかかっていた頃。確かProdigyのリーダーであるリアムがインタビューで、「やっていることは違うけど、Daft Punkは世間に『速くなくても踊れる』ということを認識させてくれた。それだけでもすごい。」と言っていたのを思い出したが、それだけエポックメイキングなことだったと思う。

その1stから継承されてきた根幹を、今回は最強の生演奏家たちと一緒に、60年代、70年代のアナログマイクやレコーディング機材を使ってスタジオの空気も含めてまるごと全てテープ録音し、その素材を現代のダンスミュージックのマナーに乗っ取って仕上げている。
これはシーケンサーのクオンタイズ・ボタンを押すだけでは絶対に生み出せないし、デジタル環境だけではほぼ真似ることができない作品(になってるはず)。しかもその仕上げている本人たちの恰好はロボットなんだから、なんとも皮肉だし、素顔を見せずにいまのデジタルミュージックの主流を変えるようなことに挑戦し続けているわけだから、そこらのパンクバンドよりもずっとPunkであるともいえる。


いまのダンスミュージックを聴き続けているとちょっと忘れがちになってしまうが、ダンスミュージックはシーケンサーやサンプラーが生まれる前から存在していたわけで、前にジャズのドキュメンタリー映画で、ハービー・ハンコックが「自分たちはダンスミュージックを作っていたんだ」と言っていたが、確かにアンプもなにもない時代は、ジャズがクラブで演奏されるブラックダンスミュージックであったと考えると、grooveの探究こそがダンスミュージックなのだと捉えることもできる。
Daft Punkがやっていることはこれに近いのかもしれない。


まだアルバムリリース前なので、実際に聴いたわけではないけど、このアルバムは2013年を代表するアルバムになるだろうし、最近ではロック方面でちょっと浮上してきているアコースティック回帰が、EDM疲れの事例に引っ張り出されていたが、ダンスミュージックシーンの中からこういった音が出てくることで、ファン層が広がったダンスミュージックに、新しい流れと聴き方の幅を持たせることになるのだろうと感じている。


CDとアナログ、両方買おうかな。

2013年4月17日水曜日

良い“山財布”求む

山登りをしていると、普段街で使っているモノが途端に使いにくくなったりすることがあるが、財布もその一つではないか。

筆者が普段使っているTUSHのレザーウォレットは長年愛用しているお気に入りなのだが、ポケットからはみ出す長めのデザイン、武骨なレザー、ごついレザーチェーンは、デニムとの相性はバッチリでも山ではとても便利とは言えない。雨や泥で革を汚したくないし、このサイズでは屈んだり岩の上に座った時におしりに食い込んだりしてとても不便だ。

そもそも登山やクライミング用のパンツはヒップポケットがなかったり小さかったりするので、財布を入れるには適してない場合が多い。
また、ハーネスをつけたり、前かがみになったりする時、おしり周りに何かが入っていると動きの妨げになり、やがて疲労や怪我につながる可能性もある。

財布はポケットに入れるよりもバッグにぶらさげるか、首や肩からぶら下げる方が取り回しもしやすい。


で、どんな財布を選ぶかだが、これがまだパーフェクトな財布に出会えていない。


最初に買ったのは、Granite Gearのハイカーウォレット。




Granite Gearはカラーリングもいいし、生地の耐久性もあるので前から試してみたかった製品。
カラビナが付いてくるのでバックパックのウェストハーネス部分にひっかけたりして使える。

サイズは大小2種類あり、どちらを買うか迷ったが、小ぶりの方がいいかなと思って小さい方を買ったのが間違いだった。
小サイズの方では財布の中に指を入れるのがとてもやりにくい。ジッパーを目いっぱい開けても、中の小銭を取り出すには一度全部取り出してみないと小銭を選べないし、中を覗くには小さすぎる。

そもそもお札とカードを入れるにはギリギリのサイズ過ぎて、入れたら最後、取り出す際には札束がグシャグシャになって出てくる始末。
生地の撥水性は高いものの、ジッパー部分は止水ではないので強い雨には注意が必要。

色のバリエーションは多いし、プロダクトとしてはとてもかっこいいので、もし選ぶなら絶対大きい方を選ぶべき。

いまは家の鍵などそんなに取り出さないものを入れるための袋として使っている。


で、いま使っているのはmontbellのO.D.Wallet




筆者はこの財布に、別売りのショルダーストラップとカラビナを取り付けて、肩から斜め掛けにして使っている。

この財布は生地が沢登りのバッグとかで使うような防水素材で、がま口部分をロールアップしてマジックテープで留めるので、中に水が入ることはまずない。

前面にメッシュポケットがあるので、ここに切符や小銭など見えとくと便利なものを入れられるのもいいのだが、自分の使い方がよくなかったのか、使い始めた初日でいきなりこのメッシュポケットの下部分がやぶれてしまった。おかげで小銭を何枚か落としてしまうハメに。。。(もの持ちいい方なんだけどな)

本体が壊れることはそうなさそうなので、今も使っているが、生地が固いので若干中身を取り出しにくい。慣れればどーってことないが、もう少し横に長めのデザインであれば、カードをいくつか入れていても取り出しやすいだろう。

ちなみに中にお札を入れる時は、財布からお札をスムーズに取り出せるよう、札束にして折るのではなく、お札を一枚ずつ半分に折ってから入れるようにしている。

ショルダーストラップで肩掛けにする方法は、すぐに財布を手に取れる一方、屈んだり岩場に手をついたりする際、ひっかかったりお腹の前に来て食い込んだりするため、なんとかならないものかと試行錯誤をしている。


やはり財布単体でぶらさげるよりも、サコッシュのようなものに他の小物と一緒に入れて持ち運ぶ方がよいのだろうか。
コンパスや携帯電話、ティッシュなど、いくつかの小物入れに別けてそれぞれ取り出しやすい場所に入れているのだが、全部サコッシュに入れてしまうという方法も試してみたい。


で、サコッシュと言えばいま一番気になってるのがこれ。




WANDERLUST EQUIPMENTという、日本のUltra Light系のインディーズブランドで、リップストップナイロンと止水ジッパー、そして立体的なデザインになっているため、身体にフィットし、バッグがやたら動くことを抑えているそうだ。

この手のブランドはカラーバリエーションがなかったり、そもそも色がダサかったりするのだが、色合いもいいし、ストラップも写真で見るかぎりではかっこいい。


さらにブランドの製品を見てみると、、、なんと財布もあるじゃん!



実際に手にして見たわけではないので、使い勝手はまだ分からないが、サイズ感などはちょうど良さそう。


色々試してみたいが、財布ばっかり買ってもしょうがないので、まだまだ悩む日々が続きそう。


2013年2月9日土曜日

Closed Captionとgoogle翻訳を使ったセカンドディスプレイ字幕サービス

普段の仕事でもセカンドディスプレイやらセカンドスクリーンやら耳にするのだが、このセカンドディスプレイはとてもシンプルかつものすごく便利。
(といっても日本じゃ使いものにならないのであくまで想像だが・・・)


ブラジルで利用可能な、ポルトガル語を母国語としない移住者向けのTV番組翻訳サービス。




仕組みはかなりシンプルで、テレビ番組に必ず付加されているClosed Captionデータを、各チャンネルごとにリアルタイムで読み込み、それをGoogle翻訳にかけ、Web上に表示。

ユーザーは専用のwebアプリをダウンロードし、いま観ているチャンネルと翻訳してほしい言語を選ぶと、いま放送している番組のCCデータを元にした翻訳が画面上に流れてくる。

ドラマやアニメはほぼ遅延なしで表示されるが、ニュースなどの生中継は遅れてデータが付与されるため、翻訳にも遅延が生じるとのこと。

このアプリ、実はブラジルで展開しているブラジル語教室サービスのプロモーション用アプリで、アプリ利用の合間に自社のブラジル語教師に関する情報も得ることができる。


セカンドディスプレイ系サービスはどんどん出てきているが、まだまだ発展途上なアプリやサービスが多いのが現状。

イギリスだとzee tv、アメリカではgetglueなどが人気で、日本でも日テレのwiztvやemoconなどのアプリが出てきているが、まだまだ浸透しているわけではない。

このアプリは、「サービスとしてのコミュニケーション」的施策になっているだけでなく、セカンドディスプレイとして、利用者に意味ある情報を出す、利便性の高いサービスだなと思う。



EasyWaySubtitle.com


2013年2月5日火曜日

auのCMを再現した「FULL CONTROL TOKYO」に参加してきた

年末から一部で話題のauのTVCM「驚きを、常識に。」を観てすぐに、「ぜったいライゾマティックスの仕事だー」と思ったが、やっぱりそうだった。




そのCMの世界観をそのままリアルな空間に再現するイベントがあるということで、サイトで参加応募してみたところ、見事当選!!
イベントのメインアクトはきゃり~ぱみゅぱみゅのライブ。
生きゃりーも観れるというミーハー心と一緒に会場となる増上寺へ行ってきた。


QRコードのチケットを見せて会場入り。さっそく事前に落としておいた会場と同期するための「ODOROKI」アプリを起動しようと思ったら、なんと勢い余ってiphoneを石段に落としてしまった!

ぬぉー!!iPhone5の側面が欠けたーっ!! まったく傷をつけずに綺麗に保ってきたのにーっ!!この時点でライブのことは半分忘れるくらい、テンションが急速に落ち始める。。。

会場で友人や前職の後輩たちに会うも、iPhoneを落としたショックと気温の低さにどーもテンションが上がらぬままイベントがスタート。


増上寺がプロジェクションマッピングで演出され、外壁がいかにもきゃりーぱみゅぱみゅっぽいCGでいっぱいになる。
ただ、周りの明るさが邪魔してるのか、プロジェクション映像がいまいちパキッとしないのが残念。


ギズモードさん撮影の動画:





ライブ中は専用アプリを起動することで、ライブを演出するライトの一部になることができる。

アプリのUIはこんな感じ。





デフォルトは白だが、ライブの曲と連動していて、ちゃんとフレーズやサビに合わせて赤や緑に切り替わるようになっている。
色の移り変わりがゆっくりとしたクロスフェードなので、実際には遅延があっても曲のテンポとの違和感はあまりない。

さらにアプリを立ち上げた状態でiphoneを振るとカメラのフラッシュが発光。
すでに一回落としているので、iphoneを振るのは躊躇したが、会場の観客がスマホを掲げながら振っている様子はなかなか綺麗だった。




アプリを使ったインタラクションは他にもあり、きゃり~の掛け声によって観客がスマホを振ると、増上寺に投影されたプロジェクションマッピングによって、増上寺が巨大なレベルメーターのようになり、スマホを振った合計数によってメーターが増えていくという演出もあった。
メーターがピークに達すると、なんと後ろに立つ東京タワーのライトが消え、もう一度メーターをピークまで上げると再び点灯。

ただ、観客全員が振っている中で自分がどれだけ貢献しているのかは分からずじまい。これは過去にもソニービルで行われたインスタレーションや、PARTYが手掛けたsonyのDotアプリを使った生中継番組でも同じで、けっきょくこの問題点を解消するまでには至っていなかった。
自分もこの時は振ってみたが、振りながらiphoneの画面をチラッと覗くと、「ネットワークエラー」という表示が・・・


ライブ以外にも、CMで出てきた噴水の色やタクシーのローライダー、さらには東京タワーの照明を自分のスマホでコントロールできるデモにも触れることができた。
噴水の色の変化はとても気持ちいい体験だったが、タクシーのコントロールは遅延がひどく、コントロールしている感覚が伝わってこなかった。




自分の手に届かないものを遠隔からコントロールする場合、触れていないのに触れていると錯覚できるダイレクトなフィードバックを体感させることが大切で、ユーザーがそのフィードバックを得るには、「遅延」をなくすことが重要な条件だと改めて感じた。

これまでは、遅延があっても演出でうまくごまかしたり、感じさせないような表現にすることでうまくいった例もあったが、今回のイベントのように、テクノロジーを使った表現として出来ることが増え、さらに先の表現を追求しようとすると、この課題は無視できなくなってくる。
外のネットワークを使うのではなく、例えばDevice to Deviceによるよりダイレクトな通信手段など、いままでとは違う通信方式をデバイスがサポートするようになれば、こういった課題も解消され、さらに面白い表現手法が生まれるかもしれない。

そんな課題と可能性について考えさせられるイベントだった。


それにしてもiPhoneを石の上に落としたのは悔やまれる・・・

2013年1月14日月曜日

雪景色と原体験

今日は大雪。

こんな積もり方をする大雪はいつぶりだろう??





こういう日はゴアテックスのジャケットを着て、「おぉー雪でもへっちゃらだよー!!」とその性能を確認するためだけに外に出てはしゃいでみたくなるのだが、部屋の中から窓の外に降り積もる雪を眺めているだけで、十分楽しい。


雪が降り積もる様子を眺めるのは昔からとても好きなのだが(たいていの人はキライじゃないだろうが)、自分にとっては、やはり小さいころの記憶が蘇るから好きなのかな、と思う。


子どもころ、ワシントン州のレドモンドに住んでいた頃の記憶。
アメリカ北西部の最北端であるワシントン州は、とにかく雨と雪が多い。
秋以降は雨が続き、冬には雪に変わり学校も休日になることもしばしば。


そういう時は外で雪かきか、雪遊びか、家の裏の林を流れる凍った小川で遊ぶか、家の中で音楽を聴いてるか、くらい。

なので雪が降ると、自然とその頃の思い出や風景がどんどん出てくる。


暖炉、薪、ラジオ、小川、林、車のチェーンの音・・・


30代になってからというもの、こうした自分の原体験につながるきっかけを求める自分がいるような気がしてならない。



思えば山登りも、この頃に家族でよく行ったレニア国立公園や、家の近くの裏山での遊びなど、小さいころの記憶を少し呼び戻せることも、惹かれる部分なのかもしれない。


松ぼっくり、松の木やモミの木、岩の多いシングルトレイル、乾燥してヒンヤリとした空気感、ホイップクリームの乗ったホットココア(笑)・・・


こうしたキーワードに遭遇するたびに、昔の記憶と結びつく。


子どものころはなんとも思っていなかったし、たまにめんどくさいとも思っていたようなことが、いまになってとても大切なものになっている。






こうした記憶を紐解くキーワードは人それぞれだろう。
結びつきが薄い人や強い人もいるし、思い出したい人もいれば思い出したくない人もいるかもしれない。


ただ、そうしたキーワードが自分を構成する要素であることは間違いないし、普段の生活でも仕事に対する考え方でも、きっと影響しているはずなので、日常の中で定期的にそれらと向き合うことは、自分の中である種のサイクルとして取り入れていきたいと思っている。




自分の子どもは、大人になったらどんなキーワードに惹かれるようになるのだろうか。


これからもたくさんの初体験や、原体験となるものを得ていくと思うので、良いキーワードがたくさんあることを願う。




ちなみに窓から大雪を観ながら聴いているBen Harperのアルバムが、雪景色にものすごくハマるので、機会があったら雪景色と一緒に聴いてみてください。




2013年1月8日火曜日

山歩きの中で思うこと

今年初の登山は、丹沢山のみやま山荘での一泊登山から。



塔の岳から丹沢山、蛭が岳を経て姫次へ、そして東野へ降りるという、人気の高い“表の丹沢”からほとんど人のいない“裏の丹沢”へ抜けるコース。


普段から山だ山だと言っておきながら、なんだかんだで山小屋は初。
どの程度寒いかよく分からなかったのと、その前に行った乾徳山では予想外の雪と吹雪で手が軽い凍傷になったので、ちょっと多めに防寒着をパッキングしていったのだが、実際に泊まってみると予想以上に快適。


みやま山荘自体は割と最近リニューアルしたこともあり、山小屋の中でもかなりきれいな方ということもあるが、全員雑魚寝の寝室は割とあったかかった。


談話室や食堂はむしろ熱いくらいで、ストーブの熱が心地よい。
食堂での焼肉の後は、談話室にある本棚から、好きな本をひっぱりだしたり、TVで天気予報を見たりしながら、消灯までの間のゆったりとした時間を過ごす。

外は風が強かったけど、山荘の中は時間の流れが穏やかで、贅沢な時間の使い方のように感じた。





日の出と同時に縦走を開始。朝方の山の風景は最高で、これまで上ってきた丹沢が別世界のようだ。

今回は丹沢主脈と呼ばれるコースを歩いたのだが、主稜と呼ばれるコースや、西丹沢の方もあるので、まだまだ丹沢は奥が深い。他の県の山にも行きたいが、県内でこれだけいろいろなルートがある山々があるのだから、もっと探究していきたいと思う。






それにしても、山登りの最中はいろいろなことを考える。


チームスポーツとは違い、ただ己の体(&便利な山道具たち)で山を登っていくので、自然と自分の体と対話しながら動いているのだと思う。


いま自分がどんなことが気になっているか、仕事やプライベートで気になったことから、ふとしたアイデア、この前思いついたけど忘れてしまったこと、過去のことや未来のこと、そんなことがどんどん出てきては通り過ぎていく感じなのだが、特にコントロールできなくなってパニくるわけでもなく、そのどれも割と前向きに受け入れ、なんとなく良い答えや返しを自分で出すことができる。


もしかしたら、自然の中で体一つでいると、感受性が高まるのかもしれない。


素晴らしい景色の中では自分の感情もenhanceしてくれるされ、その結果、日常のいろんな事柄に対してピュアに向き合うことができるのかも。


マラソンが趣味の友人も、走っていると色々な悩みが解消された気がすると言っていたし、おそらくサーフィンでの波待ちなんかもそんな感じなのかも。


ただ自分にとっては、山や森で味わう景色と空気がないとダメらしい。



とはいえ、下山して街に戻ってくると大抵忘れてるのだが、部屋や机の上でいろいろ悩んでるのであれば、個人的には山登りをオススメしたい。



2013年1月6日日曜日

未来思考と環境志向

気づけば1年間、ブログを更新していなかった。。。


ちょうど1年前に転職し、広告代理店のプランナーからメーカーの研究開発部門での企画職へと変わり、身の回りや環境の変化に翻弄されること半年間、なんとなく慣れてきたかなーと思えるようになった3ヶ月間、そして俄然面白くなってきた後半3ヶ月を経て1年が過ぎ、ようやくブログ記事でも書こうかなと思えるようになってきた。
しかしFacebookには書き込んでるな。。。


10年間、広告代理店でデジタル領域の企画を経験したが、一時期はゲーム/CP企業に出向していたこともあったので、異業種へ行くことは慣れていたつもりだったのだが、黒物家電メーカーの研究開発部の異世界っぷりには、正直圧倒されまくりだった。
業界の違いについていろいろ書くつもりはないので、そこらへんは置いておくとして、考えや思考の変化について記録しておきたい。



今の自分の仕事は、自分たちが開発している技術を用いてどのようなサービスやプロダクトに落としこめるか、そしてそれらがエンドユーザーのライフスタイルをどのように変えていくかを企画/デザインすることだ(もちろん逆からのアプローチもある)。
こういう仕事と向き合うことで考えるようになったのが、「日々の生活の豊かさ」について。


人々の将来はどうあるべきか。
どのようになれば豊かな未来だと言えるのか。
そもそも社会や人々の意識はこれからどのように変化していくのか。
その中で自分たちがテクノロジーを使って実現できること、提供できる価値はなんなのか。。。
そんなことをひたすら考えるようになった。


未来は自分や家族、大切な人達に関わること。当然身の回りだけでなく、先進国から現在発展途上の国や地域の人々まで関わる。
最もミニマルな生活環境から、より大きな地球規模での環境まで意識する必要がある。


特にここ数年は山へ登ることが多くなったこともあり(ちなみにこの記事も山小屋で書いてる)、街での生活と自然の中での生活、未来と自然環境との関わり合い、その中での豊かな生活のあり方はどうあればいいか、といった事への意識がとても強くなった。


以前はこういったことについてここまで向き合うことはできなかった。向き合う余裕と余力を残す能力がなかったと言った方がいいのだろう。
もちろん広告業界の優れたプランナーやディレクター、”先生”クラスの偉人たちは、みんな「生活者視点」で考えているし、生活者の今と未来を鋭い感覚で捉え、素晴らしい企画に落としこんでいる。
自分も、生活者にとって本質的な価値となるサービスをコミュニケーションの中で提供することで、結果的にクライアント企業にとってもプラスになることを最も意識しながら企画してきた。


ただ、(言い訳がましいのを承知で言うと)仕事領域がデジタルコミュニケーション/プロモーション分野の中では、すでに何らかの商品やサービスがある中でスタート、あるいはすでに企画の方向性が出ている中でスタートするため、より本質的な部分から考え始めることはなかなか難しかった。


今はコミュニケーションの手前にある、モノやサービスを作る場所にいる。
実際にはこの時点で、生活者とのコミュニケーションは始まっていると言っていい。
この中で社会の変化を感じながら、促したり、より良い方向へと流れを作っていくことを深く意識していくと、正直マーケティングやコミュニケーション、プロモーションなんてどーでもいいのではないか、自分の興味分野はそこではないのだな、ということに気づいた。(もちろん、コミュニケーションやプロモーション企画を考えるのは今も好きです)


競合に勝つとか、世の中をあっと言わせるとか変えていくとかよりも、人と環境にとってより豊かな未来の姿を提示し、実現していきたい。広告代理店にいた時の、感覚のズレとの暗黙の調整みたいなものがここに来てフッと和らいだように感じた。
そして今は、モノを作っている会社にいるからこそ、物質的ではない豊かさを追求していきたいとも感じている。


どのような環境においても、日々の生活において気持ちがenhanceされ、充実感を感じることができるような日常を描き、実現していきたい。


そんなことを考えながら、2013年もさらに楽しみたいと思う。



今年もよろしくお願い致します。